増える「メーカー」のマーケティング・オートメーション導入とその課題

hurdles

エンドユーザーに直接販売を行わない、いわゆる「メーカー」のマーケティング・オートメーション導入が今増えています。同時に「そもそも販売を行わないメーカーにMAが必要か?」という質問も受けるようになりました。今回の記事は、販売を行わないメーカーのマーケティング・オートメーション導入で気づいたポイントを書きたいと思います。

 

ポイント1:「マーケティング部門が無い」

製造に徹するメーカーには、マーケティング部門の無い会社は少なくありません。部門はなくても広告担当やPR担当がいるパターンもあります。このマーケティング部門の不在は、多くの課題の根源となりますが、それを書くと膨大な量になってしまうので、今回はその中から1番の課題と思うものを上げます。

 

マーケティングで、特に重要な位置づけのものは「消費者の声を反映した製品&サービスつくり」になります。これは研究開発部門だけの話ではなく、広告や販売も含んだ全社的な活動であるべきだとされています。

 

エンドユーザーと直接接点がなく、ユーザーの趣向、行動、インサイトなどを知らないことはメーカーにとって致命的ということは想像できます。それらの活動を主導する役割のマーケティング部門は、どのメーカーにとっても必要でしょう。しかし、現実はそうでもないということです。

 

マーケティング・オートメーションの導入が決まったからといって、すぐにマーケティング部門を作る訳にもいきません。その場合、おすすめしているのはマーケティング・オートメーション導入の責任者とプロジェクトマネージャーを任命いただくことです。導入期間の2〜3ヶ月は、他部門との調整や、ツール特有の決めごとなどの管理をする任務を担っていただきます。

 

ポイント2:「ブランディング活動が消極的」

販売を行わないメーカーにとっての「顧客」は、販売店や販売会社になります。なので、作った物が販売会社に売れた段階でコンバージョンされたという認識ができます。(本来はその物がエンドユーザーによって購買されることがコンバージョンとすることがマーケティングの主流の考え方になります。)

 

極端な例を上げると、メーカーが作ったものを販社が大量に購入したとします。しかし、その商品はエンドユーザーに全く売れず、倉庫に残ったままであってもメーカーにとっては「売れた商品」になりえるという話です。(あくまでも例えです)

 

一方、販売店とすれば、来店客の指名ブランドがなければ、数ある商品の中からそのユーザーのニーズにあった商品をすすめることが「顧客」に喜ばれる対応になります。もちろん、その中に仕入値やメーカーからのインセンティブを考慮して「販売店にとっと最良なオススメ商品」をすることもあるでしょう。

 

このようなメーカーと販社、そしてエンドユーザーの関係が「正」として長期間続くとすると、メーカーのブランド価値を上げるための消費者へ対するコミュニケーションを行う「必要性」がだんだん弱くなっていきます。その結果、広告宣伝費の予算の多くが販売促進費という名のディスカウントで使われてしまい、本来であれば競合との差別化要因である「ブランド価値」を上げるための施策に対して消極的な組織が生まれてしまうのだと感じます。

 

もちろん、メーカーとしてブランド価値を高める活動を十分に実践している会社は多数あります。例えばコカコーラやアップルです。コカコーラはメーカーとして飲料をつくり、コカコーラボトラーズが販売を担っています。普段の生活でコカコーラのTV CMや広告に接することは多々あります。そして、オンライン上でもエンドユーザーとのエンゲージメントを高める施策が多く用意されています。このようなメーカーがブランド価値を高める施策を継続的に実行していくことは、どの企業も見習うべきだと思います。

 

ポイント3:「コンバージョンが取れない」

マーケティング・オートメーションの導入メリットに「どの施策がコンバージョンアップに寄与したか?がわかる」があります。しかし上記ポイント2であげたように、消費者への販売を行っていないメーカーは「誰が何の商品を購入したか」が分からないことがあります。

 

さらに、エンドユーザーが「なぜ自社製品を選ぶのか?」または「なぜ他社製品を選んだのか?」といった改善策のベースとなる「仮説」が立てられないといったハンデを背負うことになります。

 

この場合、販社から情報をもらうか、他の指標をソフトKPIとして利用するかの判断が必要になります。外部データとの連携は、マーケティング・オートメーションツールでは、比較的実現性が高いため大きな障害になったケースはありません。

 

ポイント5:「ユーザーエキスペリエンスに改善が必要」

「販売を行わないメーカー」でも、ホームページには製品情報が掲載されています。そこでは、資料ダウンロード、カタログ請求、動画視聴、メルマガ登録、ユーザー登録といった様々なコンテンツや機能があります。

 

しかし、「販社」>「消費者」という図式が社内で「正しい」とされる状態が長期間続くと、そのユーザビリティーがユーザー向けに最適であるか?という確認がおろそかになるようです。弊社では、プロジェクト開始前に一連のフォームやコンテンツをチェックする際、同業他社のフォームも確認します。その際、クライアントのホームページのユーザーエキスペリエンスが最適に保たれているかも考慮します。「販売を行わないメーカー」の場合、多く見かけるのが消費者にとってユーザビリティーが最適でない状態のものです。マーケティング・オートメーション導入の際、同時にホームページをユーザーエキスペリエンスを軸にレビューし改訂することを推奨しています。

 

以上が「エンドユーザーに直接販売を行わないメーカー」で見られるポイントです。マーケティング・オートメーションの導入を検討される会社で、いくつかのポイントに該当する会社はあるのではないでしょうか。ぜひ、参考にしていただければ幸いです。

Share